■富士ホビーについて 富士ホビーという会社は、マルサン倒産(1968年12月)後、マルサンでプラモデルに関係している方が5名集まって1969年2月に設立された ようです。会社設立初期は、マルサンの飛行機プラモデル金型(日模が引き取らなかった飛行機)を利用してご商売されたようです。 *1 現在でもネットオークションでは、時折、富士ホビーブランドの旧マルサン製品を目にすることが出来ます。私の好きな1/100スケール の飛行機が数多く再販されたことは個人的には嬉しいです。 ■ビッグプレイン シリーズについて このビッグプレイン シリーズは、旧マルサン製品ではなく、自社で開発されたオリジナル商品のようです。 発売(予定)は、日本模型新聞*2によると第1弾は1972年3月、第2弾は1972年5月、第3弾は1973年1月、だったようです。 富士ホビーは模型誌に広告を出しており、モデルアート1972年7月号の富士ホビー広告には、「好評発売中 ビッグプレーン シリーズ 世界のビッグプレーンをミニサイズで、プロポーションを大切にした、業界初のキットです−」とあり、ギャラクシー、B−52、 PS−1の3機が紹介されています。 さらに、同誌1972年9月号には「ビッグプレーン シリーズ 第2弾新発売」として、XC−1 と SP−5B の2機が紹介されています。 ちなみに同誌1973年1月号には、2月上旬発売として、B−17F、ツボレフ、グッピーの3機が紹介されています。 B−17Fとグッピーは富士ホビーから実際に発売されましたがツボレフというのは私は実物未確認です。 但し、日本模型新聞*2には、ビッグプレイン シリーズとして「ツボレフ ベア」(スタンド付、スケール?)価格100円 1972年 7月発売(予定)と記載がありますので発売された可能性はあります。「ツボレフ ベア」というのはTU-95のことだと思いますので 数年後のサニーからの再販時に入れ替わった「ツボレフ TU-144 チャージャー」とも異なりますので詳細不明。謎です・・・。 ■スケール、中身について スケールは、パッケージサイズに合わせた箱スケールで、1/240が5種、1/320が2種、1/480が1種となっています。(ツボレフ ベアは スケール不明) スケールは小さいですが大型機を100円という低価格でコレクションできた貴重なシリーズでした。 キットは、フライングモデルのため脚廻りの部品は無く、専用ディスプレイ用スタンドが付属しています。 キットのデキは、フライングモデルにしては形状が良く、パネルラインも繊細な凹モールドで再現されており良いデキだと感じます。 但し、この凹モールドにスミ入れするのは浅過ぎるので困難です。一度ラインを彫る必要があります。 ■再販について このシリーズは、富士ホビーが無くなった(倒産?解散?)あと、サンショウ、サニー の順に金型が移りました。 サンショウからサニーに移った時にラインナップが3アイテム入れ替わりました。(詳細は、サニーの箇所で説明。) 永らく絶版状態が続いていましたが、1999年頃?に突然、アカデミーから箱絵とデカールが変更され再販されました! (ラインナップは、サニー時代と同じようです。) ということで、現在もネプチューン、グッピー、SP-5B 以外は、入手可能です。 このような安価なキットは、いつの時代も需要があるのか、寿命の永いキットが多いように感じます。 *1 富士ホビー、サニーについては、モデルアート1985年5月増刊「モデルアートまにゅあるvol.2」にサニー社長インダビュー記事あり。 しかし、この記事にはマルサン倒産が(昭和)45年(1970)12月と書いてある。昭和43年(1968)12月の間違いであると思われる。 (数々の模型関連本にもマルサン倒産は昭和43年と書いてある。) ちなみに日本模型新聞*2リストに収録されている富士ホビーの製品で一番発売(予定)が早いものは1969年5月となっている。 当然だがマルサン倒産1968/12で辻褄が合う。 *2 発売(予定)年月は、日本模型新聞記事をまとめた日本プラモデル50年史特別付録CD「昭和プラモデル全リスト」による。 |
富士ホビー消滅後?、金型がサンショウに移動しました。
日本模型新聞にはサンショウに関するデーターが無いようで発売時期不明です。富士ホビーの新製品が1973年1月以降無くなっていること
から1973年1月以降に発売されたと考えられます。 シリーズ名は、ジャンボプレーンコンパクトシリーズに変わりました。 「大きな飛行機を小さくまとめましたよ。」と説明されているようなシリーズ名です。(笑) サンショウは、このシリーズにかなり気合を入れていたのか、通常、再販する場合は、前メーカーの箱絵をそのまま引き継ぎ使用する パターンが多い中、何と箱絵全てが富士ホビー時代から変更されています。しかも勢いのある素晴らしい構図の箱絵です! (富士ホビー時代の箱絵が静かな感じの絵だったから余計にそう感じるのか・・・?) 中身は富士ホビー時代と比べると成型色が少し違うぐらいでデカールは変更無しです。 その他、特記することでは、富士ホビー時代の「川崎 XC-1」という名称が、サンショウ時代では、Xが外れて「川崎 C-1」となっています。 |
No. | KIT No. | BOX | SCALE | アイテム | 当時価格 |
---|---|---|---|---|---|
1 | S01 | 1/320 | ボーイング B-52 ストラトフォートレス | 100 | |
2 | S02 | 1/240 | 新明和 PS-1 | 100 | |
3 | S03 | 1/480 | ロッキード C-5A ギャラクシー | 100 | |
4 | S04 | 1/240 | ロッキード P-2V ネプチューン | 100 | |
5 | S05 | 1/320 | グッピー 201 | 100 | |
6 | S06 | 1/240 | ボーイング B-17F | 100 | |
7 | S07 | 1/240 | マーチン SP-5B | 100 | |
8 | S08 | 1/240 | 川崎 C-1 | 100 |
■ビッグプレーン シリーズについて シリーズ名称は、元祖富士ホビー時代の名称を世襲しているようです。ちなみにサニーの社長さんは富士ホビーから独立された方 のようです。*1 発売時期は、文献が発見できなかったので正確な年代が分かりません。私の記憶では自分が中学生の頃に店頭に並んでいたような気が するので1980年代初めじゃないかなぁと思います。 このシリーズから、3アイテムが入れ替わりました。 ネプチューン、グッピー、SP-5B の3種が消え、B-1、TU-144、XB-70 の3種が追加されました。 追加された3種の出所について気になるところですが(自分だけ??)未だ調査中です。(調査して分るものでもないですが・・・。) とりあえず判明したことを列記してみます。 ■1/300 XB-70A バルキリー XB-70 の元メーカーは、日東科学という情報をあるHP(私がこのシリーズに興味を持ったのはそのHPを見たからです。 現在は閉鎖されています。)で見た記憶があります。 その他でニットー1/300 XB-70Aについての情報は、以下の2件を発見しました。 ・日本模型新聞に「日東科学 ジェット機シリーズ 1/300 XB-70A バルキリー 100円 1968/02発売(予定)」と収録されている。 ・同時期のモデルアート誌ニットーの広告(だったと思う。)に「1/300 XB-70A バルキリー」白黒パッケージ写真が掲載されている。 スケール、発売価格から考えると、この金型がサニーに移りサニーから再販されたと考えられそうです。 ということでバルキリーは日東科学製の可能性がかなり高いです。 ちなみにサニーのXB-70は、フライングモデル専用ではなく、車輪が有ります。このシリーズ唯一の着地モデルです。 モデルアート季刊の飛行機模型スペシャルNO.15の91ページにサニーの当シリーズについての記述があり、「XB-70は1968年に日東から発売 されていたキット」と紹介されていました。・・・2019/09/14追記 ■1/360 ツボレフ TU-144 チャージャー これも前述のHPで元メーカーは、日東科学という情報を得ましたが、残念ながら日東科学からビッグプレーン シリーズと同スケール、 同価格帯のTU-144を発売したという確証ある情報を発見することが出来ませんでした。 日本模型新聞プラモデル全リストCDで「TU-144」を検索しても引っ掛かったのは下記のキットだけでした。 ・「日東科学 世界の旅客機シリーズ 1/132 ツボレフ TU-144 SST 300円 1969/08発売(予定)」(スタンド付) 但し、ニットーは、一部?の世界の旅客機シリーズで同じ機種で「小」(例:コンコルド小)という小スケールのキットを発売しています。 もしも、「TU-144 チャージャー(小)」というのを開発していれば価格帯が100円なのでニットーが開発した可能性が高くなってきますが ・・・。 う〜ん、チャージャー小、あったのだろうか??、謎・・・。 サニーのTU-144の中身についてですが、凸モールドでフライングモデル専用となっています。車輪はありません。 ■1/260 ロックウェル B-1 これは、前述のHPでも元メーカー不明となっていました。私も調査しましたが分かりませんでした。 このキットの中身は、凸モールドでフライングモデル専用で、車輪は無し、となっており、TU-144となんとなくキット構成が似ています。 ということで、まじまじとこのB-1とTU-144を見比べてみました。で、気付いたことが1つあります。 何かといいますと、、、 富士ホビー開発分は、例えばB-17Fだと「BOEING B-17F 1:240」となっており名盤の外枠が細いですが、B-1とTU-144は、それぞれ、 「B-1 1:260」、「TU-144 1:360」となっており名盤の外枠も富士ホビー開発分と比べると太いです。 もしかしたら、B-1とTU-144は、同じ製造メーカーかもしれません。確証無しですが・・・。 ■サニー ミニSSTシリーズ 今回、この3種の元メーカーを調査するにあたり、日本プラモデル50年史特別付録CD「昭和プラモデル全リスト」*2を色々と 検索していたら、何と、サニーからミニSSTシリーズという製品が発売されていたことが判明しました。 収録されているデーターは以下の通りです。 No.1 1/260 B-1 ボンバー 150円 1976/06 No.2 1/300 XB-70A バルキリー 150円 1976/06 No.3 1/180 TU-144 ツボレフ 150円 1976/06 No.4 1/160 F-14A トムキャット 150円 1976/06 発売が1976年ということから、サニーは、ビッグプレーン シリーズを発売する前にミニSSTシリーズという製品を発売していたようです。 SSTとは、Supersonic transport の略で、超音速輸送機とか超音速旅客機という意味です。 TU-144は、まさしくSSTに当たります。コンコルドなんかもSSTですが、コンコルドはこのシリーズに入ってないみたいです。 話がそれましたが、入れ替わったキット3種類の名前がこのミニSSTシリーズにあります。 (TU-144のスケールは1/180となっていますが、入力間違いかじゃぁないかと推測されます。) このミニSSTシリーズ、実物を見たことないので詳細不明ですが、サニーは再販だけではなくて、きちんとプラモデルを開発するメーカー でもありますから、ここにきて元メーカーはサニーだった可能性が出てきました〜! 謎は深まるばかりです。どなたかご教示いただければありがたいです。。。 |
No. | BOX | SCALE | アイテム | 当時価格 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1/320 | ボーイング B-52 ストラトフォートレス | 100 | ||
2 | 1/260 | ロックウェル B-1 | 100 | シリーズ追加 凸モールド |
|
3 | 1/240 | ボーイング B-17F | 100 | ||
4 | 1/240 | 川崎 C-1 輸送機 | 100 | ||
5 | 1/480 | ロッキード C-5A ギャラクシー | 100 | ||
6 | 1/240 | 新明和 PS-1 対潜哨戒機 | 100 | ||
7 | 1/360 | ツボレフ TU-144 チャージャー | 100 | シリーズ追加 凸モールド |
|
8 | 1/300 | ノースアメリカン XB-70 バルキリー | 100 | シリーズ追加 凹モールド |