■マンネンについて マンネン(万年社)は、「モデラー」という社名で1971年(昭和46年)に創業、1974年に「万年」 へ社名変更されたようです。 万年社は、模型塗装用の筆や塗料皿などを販売していた会社で、模型用の筆は「万年筆(マンネンフデ)」、 塗料皿は「万年塗料皿」という商品名で販売していました。 プラモデルは、モデラー社時代の1972年12月〜1973年1月頃に同社初のプラモデルとして「1/180スケール 一級燈台 犬吠崎」 を発売しています。 今回紹介するのは、万年社へ社名変更してから初のプラモデルとなった、ジェットファイターシリーズとなります。 ■ジェットファイターシリーズについて 日本模型新聞*によると、F-14が1974年11月、F-15が1974年12月発売(予定)となっています。 当時のMA誌(1975年1月号)の作例記事には、モデラーから万年へと社名変更後、最初の本格的スケール モデルであると記載されています。 また、同誌、同号には万年の広告が載っており、新製品情報のページにもF-14のパッケージ写真と共に 紹介されています。 F-14、F-15共に全面凹モールドで形状もなかなか良かった好キットです。ただ今から約50年前のキット なのでF-14は初期生産型、F-15は試作機がモデライズされています。 1/100スケールの他メーカーのF-14、F-15のキットとしては、タカラ、BEN HOBBYなどがありますが、両社ともに量産型を モデライズしているのでマンネンのキットは貴重と言えます。 マンネンのキットの箱側面にはラインナップとしてMig-25 フォックスバットとミラージュ F-1のイラストが 記載されています。 日本模型新聞*にはMig-25とミラージュF-1が1974年11月発売(予定、価格の記載はなし)となって いましたが、実際には発売されていないようです。 残念ながらマンネンは、数年で模型販売から撤退したようです。 * 日本模型新聞記事をまとめた日本プラモデル50年史特別付録CD「昭和プラモデル全リスト」による。 |
No. | BOX | アイテム | 当時価格 | 発売(予定)年月 | 備考 |
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1 | ![]() |
F−14Aトムキャット | 300 | 1974年11月 | |
2 | ![]() |
F−15イーグル | 300 | 1974年12月 | |
3 | ![]() |
Mig−25 フォックスバット | − | 1974年11月 | 発売予告のみ? |
4 | ![]() |
ミラージュ F−1 | − | 1974年11月 | 〃 |
ハナオカ/マニアホビー版と呼ぶべきバージョンがマンネン ジェットファイターシリーズと同時期に存在したようである。 と、ootuka02氏より情報提供していただきましたので別リスト化しました。 このバージョンは、マンネン版と同じパッケージ仕様ですが、マンネン社のロゴシールが貼られていないという不思議なバージョンです。 箱の中に同封の組み立て説明図が英語であることから海外販売用であると思われます。 ■ootuka02氏からの情報まとめ ・ハナオカ/マニアホビー版とでも呼ぶべきバージョンがある。 ・このバージョンは海外で販売されていたが、国内で販売された形跡はなさそう。 ・パッケージ外見と中身(パーツ、デカール)は、ほぼマンネンと同じ。 ・マンネンとの違いは、以下である。 ・パッケージ(箱)にマンネンのロゴシールが貼られていない。 ・組み立て説明図が英語である。 ・組み立て説明図には、ハナオカ/マニアホビーと記載されている。 ootuka02さん、貴重な情報ありがとうござました! ■ハナオカ/マニアホビー版入手 その後、ハナオカ/マニアホビー版のF-15を入手しましたので紹介します。 ↓下記事参照下さい。 ハナオカ/マニアホビー版入手 ■マニアホビーについて マニアホビーは、1974年にマニア社が諸般の事情により一時業務を休止した際にマニア社の業務を引き継いだ会社です。 マニア社とは、1970年に1/72スケールの97式戦闘機を製造・販売し、模型業界に参入した当時の新興メーカーであり、 当時では非常に珍しい、メーカー直接販売(通信販売)を行った会社です。 それ故に一般小売店にはほとんど流通せず、一部のマニア?(一般購入者)は送料を払って製品を購入しなければならないので、 1/72としては輸入品のモノグラム並みに高価だったという話です。 卸売業者を通さない分、売れればメーカーとしては利益率は良かったかもしれませんが、送料を払ってプラモデルを購入するというスタイルは ネット購入が当たり前となった現在では、気になりませんが、当時はかなり抵抗があったのではないかと推察されます。 しかしながら、キットのデキは当時としては非常に良く、機種選択もマニア好みであり、マニア社が開発した製品は、 1976年からハセガワが引き継いでいます。 ということで、マニアホビーが主に活動していた期間は1974〜1976年という短い期間であったと思われますが、 丁度、マンネンがジェットファイターシリーズを販売していた期間とかぶっているようです。 −参考資料− ・モデルアート誌:1970年11,12月号・1974年3月号・1976年12月号(モデルアート社) ■ロゴについて 当キットのロゴは、オレンジ色の四角の中に丸みを帯びたMの形をした山状のイラストの中にHOBBY KITS と書かれています。 MはマンネンのMのように思えるし、マニア(マニアホビー)のMのようにも思えます。 しかしながら、両社というか3社とも別のロゴがあります。 少しマニアホビーのロゴ(赤い円の中に角ばったMの形をした山状のイラスト)と似ていますが、 このロゴは、このジェットファイターシリーズ以外に見たことが無く、自分的には謎なロゴです。 ロゴで何か解明できるかと思いましたが、何も判りませんね。。 |
No. | BOX | アイテム | 当時価格 | 備考 |
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1 | ![]() | F−14Aトムキャット | − | |
2 | ![]() | F−15イーグル | − |
1/100 ジェットファイターシリーズは、マンネンのあと、サンショウから発売されました。
発売時期は不明*ですが、前後の流れ的に1976〜1977年頃でないだろうかと思われます。 ラインナップはマンネンと同様(デカールも同じ)で、F-14とF-15は発売されましたが、MIG−25とミラージュ F−1は発売されなかったようです。 箱の側面には、これまたマンネン同様に、MIG-25とミラージュF-1のイラストが載っています。しかし、マンネンのイラストは線画だったのに対し、 サンショウの箱側面には、箱絵に使用する予定と思われるカラーイラストが印刷されています。商品化が近かったのかもしれません・・・。 *日本模型新聞には、サンショウのデータが収録されていません。 |
No. | BOX | アイテム | 当時価格 | 写真/備考 |
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1 | ![]() | F−14Aトムキャット | 300 | ![]() |
2 | ![]() | F−15イーグル | 300 | ![]() |
3 | ![]() | Mig−25 フォックスバット | − | 発売されたか 不明 |
4 | ![]() | ミラージュ F−1 | − | 〃 |
海外販売用としてENTEXから1970年代後半に1/100 ジェットファイターシリーズのキットが発売されました。
ENTEXの当時カタログ(1977年、1978年)に「1/100 SCALE Hot Twin Jets」という名称でF-14,F-15(完成写真)、
Mig-25(サンショウの箱側面のラインナップのイラストと同じイラスト)が掲載されています。 ラインナップは、カタログ通り3機種ということで、なんとMig-25がENTEXから発売されていました! 後述するサニーからMig-25が発売された後にENTEXから発売されたと推測しますが、箱絵が幻のサンショウ版側面イラストというのが驚きです。 |
No. | BOX | アイテム | 当時価格 | 備考 |
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1 | ![]() |
F−14Aトムキャット | − | |
2 | ![]() |
F−15イーグル | − | |
3 | ![]() |
MIG−25 フォックスバット | − |
金型は、サンショウのあと、サニーに渡ったようです。
特筆すべきは、マンネン及び、サンショウからは発売されなかったMIG-25がサニーから発売されたことです。 MIG-25の発売(予定)は、日本模型新聞*によると1977年3月となっていますが、F-14とF-15については再販のためか、記載されていません。 しかしながら、MA誌1978年3月号(F-15イーグルの特集)には「傑作1/100 F-15Aイーグル」という作例記事でサニーの1/100 F-15が紹介されていますので 同時期に発売されたと推測されます。 サニーのMIG-25初版の箱絵は、サンショウ版パッケージ側面に記載されていたイラストと構図が非常に似ていますが別の絵です。 箱にはシリーズNo.3と記載されており、箱側面にラインナップとしてF-14とF-15の絵(マンネン及びサンショウ版のBOX側面イラストと同じ絵)が印刷されています。 ちなみにミラージュF-1のイラストの記載はありません。 普通に考えるとマンネン、サンショウと同様の箱絵のF-14とF-15のサニー初版パッケージが存在しても不思議ではありませんが、当方、今まで見たことありません。 なお、MIG-25初版の箱には、1/100 スケール ジェットファイターシリーズとシリーズ名が記載されていますが、以降の再販パッケージにはシリーズ名の記載がありません。 |
■初版 万年社の発売予告が1974年11月、それから2年余り経過し、販売会社は変わりましたが、ようやくMIG-25が発売されました。 1976年9月のベレンコ中尉亡命事件でMIG-25がクローズアップされ、ハセガワは1/72スケールのMIG-25を4ヶ月余りでいち早く商品化しましたが、サニーからのMIG-25の商品化は ハセガワより数ヶ月後のことです。元々、金型はあったが、亡命事件を受けて一部金型を修正したのではないかと言われています。 サニーのMIG-25は、試作機(原型機)をモデル化しているようです。 |
No. | BOX | アイテム | 当時価格 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | ![]() |
F−14Aトムキャット | − | このイラストで発売されたか不明 |
2 | ![]() |
F−15イーグル | − | 〃 |
3 | ![]() |
MIG−25 フォックスバット | 300 |
■2版![]() Mig-25の箱の中にはサニーのミニカタログが入っていました。(写真参照) 脱線しますが、個人的には、「1/100 爆撃機対日本機」と「ビックプレーンシリーズ」が気になります。 1/100 爆撃機対日本機というのは、B-29対屠竜のことで、製造期間中に屠竜の金型に不具合が生じ、途中から日本機が飛燕に差し替えになっています。 サニーのビックプレーンシリーズは、当HPでも紹介しています。 |
No. | BOX | アイテム | 当時価格 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | ![]() |
F−14Aトムキャット | 300 | |
2 | ![]() |
F−15イーグル | 300 | |
3 | ![]() |
MIG−25 フォックスバット | 300 | |
■2版(再販版) サニーは、再販時にシリーズNo.4としてF-15の自衛隊機を追加しています。 また、No.1のF-14とNo.2のF-15のデカールは新しいものに変更になっています。 BOX正面のパッケージは、以前のものと同じですが、側面に「完成カラー写真付」と印刷されており、 中に同封されている組み立て説明書の裏に「マーキング及び塗装参考図」として完成品のカラー写真が掲載されています。 販売価格は、400円に値上がりしていますが、1/100スケールのデカールは貴重ですので購入する価値ありです。 サニー以降の再販についてですが、当HPでは当初、アカデミーから発売されていると記載していましたが、 アカデミーのキットは劣化コピー版だったようです。お詫びして訂正します。 |
No. | BOX | アイテム | 当時価格 | 写真 |
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1 | ![]() |
F−14Aトムキャット | 400 | ![]() |
2 | ![]() |
F−15イーグル | 400 | |
3 | ![]() |
MIG−25 フォックスバット | 400 | |
4 | ![]() |
F−15イーグル 航空自衛隊新田原基地・千歳基地 | 400 |
アメリカ・レべルのカタログによると、1985年にF-14とF-15の2種を発売したようです。 Mig-25は85年カタログには掲載されていませんのでこのタイミングでの発売は無かったと思われます。 パッケージは完成写真を使用しており迫力あるアングルで撮影された写真が採用されているようです。 |
KIT No. | BOX | アイテム | 当時価格 | 備考 |
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4026 | F−14Aトムキャット | - |
1985年米レベルカタログNEWマーク付で掲載 |
|
4027 | F−15Aイーグル | - |
1985年米レベルカタログNEWマーク付で掲載 |
1986年以降、カタログから消えていましたが、1989年と1990年の2年間のみ、復活したようです。 このタイミングでは、Mig-25がラインナップに追加されています。 この箱絵も非常に勢いのある構図で素晴らしいです。 KIT No.が85年発売時より変更になっています。 |
KIT No. | BOX | アイテム | 当時価格 | 備考 |
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4066 | ![]() |
F−14Aトムキャット | - |
1989年米レベルカタログNEWマーク付で掲載 1990年米レベルカタログ掲載 |
4067 | ![]() |
F−15Aイーグル | - |
1989年米レベルカタログNEWマーク付で掲載 1990年米レベルカタログ掲載 |
4068 | ![]() |
MIG−25 フォックスバット | - |
1989年米レベルカタログNEWマーク付で掲載 1990年米レベルカタログ掲載 |
2000年代に入り、台湾のメーカーである、AFVクラブからF-14とMig-25が発売されています。
(デカールに2007年と印刷されています。) パッケージは、タミヤのミニジェット同様のキャラメル箱形式となっており、裏側にも何故かイラストが印刷されています。 ランナーには、「AFV CLUB」の刻印が新たにありますが、パーツはサニーのものと同じです。 組立説明図もほぼ同じですが、Mig-25は機首に重りを入れるよう指示が追記されています。 デカールについてですが、Mig-25は、サニーと同じく国籍マークと機番のみですが、F-14は、ジョリーロジャース (1970年代と1980年代)のデカールが付属していますので貴重です。 伝統?のディスプレイスタンドは残念ながら付属無しとなっています。 あと、KIT No.のAF10002が空いているところが気になります。もしかしてF-15を発売する予定があるのでしょうか? |
KIT No. | BOX | アイテム | 価格 | 備考 |
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AF10001 | ![]() |
MIG−25 FOXBAT | 1000 | |
AF10003 | ![]() |
F−14A TOMCAT | 1000 |